「ジーンズとカルチャー」シリーズでは、ジーンズと深く結びつきのある文化について、ジーンズとの関わりや影響力について解説します。
第二回目は、1940年代の大戦期に起きたジーンズの立ち位置の変化についてです。
大戦期といえば、1940年代の「大戦モデル」が有名ですが、ここではその話は触れず「ロージー・ザ・リベッター」という女性たちに、フォーカスを当てていきます。
カウボーイ文化によって庶民にも広まったジーンズは、第二次世界大戦によってその存在をさらに変化させます。
大戦期に大きな労働力となった女性たちが、ジーンズの「男性が履くイメージ」を覆しました。
大戦下のアメリカ
1939年、ドイツがポーランドを進行したことで第二次世界大戦は始まりました。
これを機に、アメリカでも多くの男性が出兵することになり、工場や造船所は人手不足になりました。
そこでアメリカ政府は、女性の労働参加を呼び掛けるべくあるキャンペーンを展開します。
キャンペーンの一環として、様々なプロパガンダポスター※が制作されました。
※プロパガンダポスター:戦争や政治運動で、人々の感情に訴えかけ特定の行動を促すために使用されるポスター
そのポスターには「We can do it!」とキャッチコピーが付けられ、溶接やリベット打ちなどもこなす女性たちの姿は「ロージー・ザ・リベッター(Rosie the Riveter)」として象徴化されました。
当時働く女性は、未婚や若年層から既婚・子どものいる中年層、さらに中流階級にまで拡大したと言われています。

出典:Canva
「ロージー・ザ・リベッター」が履いたもの
リベット打ちや溶接、組み立て作業など、女性の工場の仕事は多岐に渡ります。
そこで必要とされたのは、丈夫で動きやすく、なおかつ汚れても良い「ジーンズ」や「オーバーオール」でした。
1930年代にデュードランチで女性がジーンズを履くことは見られましたが、公的に女性がジーンズを履くようになったのはこのタイミングでした。

デニムを身につけて作業をする女性
ロージーが与えた社会的インパクト
第二次世界大戦下で公に女性がジーンズを履いたことは、社会に大きな影響を与えました。
当時のアメリカでは、女性はスカートを履くのが当たり前でしたが、戦争をきっかけに「ジーンズを履くことが国を支える誇り」というプライドに結びつきます。
国を支えながら仲間と働く喜びは、その後の女性の生き方に大きく影響します。
かつては「働くことや社会に貢献できるのは男性」というイメージだったものが、ジーンズの存在とともに「女性も男性と同じく社会に貢献できる」というイメージに変化しました。
この影響から、その後のフェミニズム運動でも見られるように、ジーンズは女性にとっても「強さと自由を象徴するアイコン」になっていくのです。
ジェンダーを超えた大戦期を感じるデニムアイテム3選
男女の境目をなくすきっかけになった戦争とジーンズの関係性を理解しながら履くと、ジーンズはもっと興味深いものになります。
そんな複雑な大戦期を感じることのできるデニムアイテムを3つ、紹介します。
①J.C.Penny PAYDAY / 40′ WWIIMODEL COVERALL
1922年にアメリカで創業したJ.C.ペニーですが、大戦期には大手デパートメントのチェーンストアブランドのひとつとして、機能性を追求したワークウエアを展開しています。
そのため、どのアイテムも洗練された、シンプルかつ機能的なデザインを持っています。
(税込¥64,900)

②Hercules / 40s WWⅡ Denim Coverall
1940年代に作られた、当時大手の「シアーズロック」が展開したヘラクレスのカバーオールです。
当時は安価で丈夫なことを売りにしていましたが、大戦期は物資統制のためフロントボタンが4つのみ、ポケットは2つとデザインが簡素化されています。
復刻版は販売されていないため、ヴィンテージショップで見かけたらすかさずチェックしてみてください。
(価格は店舗参照)

③Lee / WWⅡ 101 COWBOY PANTS 1945 model
言わずと知れたデニムウエアブランドのLeeですが、大戦下ではアメリカ軍に公的に衣料を提供していました。
その影響で、普段使われていたパーツは軍衣料に使用され、民間に売るジーンズはデザインを少し変えて販売していました。
フロントのジッパーパーツは軍用に回されたため、ボタンフライの仕様に変わっています。
(税込¥28,600)

戦争と生きたジーンズを履くということ
戦争は命の尊さや平和について深く考えさせられますが、そこから学ぶ価値観や文化は数えきれません。
今では身につけるだけのファッションでも、過去への理解を示しジーンズを履くことで、新たな価値観を現代に生むことでしょう。
大戦期のデニムは価格が高騰しやすく、手元に置いておくことが難しいこともあります。
そんな時はぜひ、ヴィンテージショップなどで実物を見て、当時の生活に思いを馳せてみてください。
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