ジーンズ好きにその魅力を聞くと、ほぼ「色落ち」という回答が返ってきます。
インディゴに染められた糸でつくられたジーンズは、経年劣化とともにインディゴが落ち、履くたびに色褪せた渋い風合いを見せてくれます。
そもそも、なぜジーンズは色落ちし、なぜその生地を使うのか、気になったことはありませんか?
そこで今回は、ジーンズ最大の魅力である色落ちにフォーカスし、その秘密を全力解剖します。
デニム生地が使われるようになった理由
デニム生地の始まりは17世紀のフランスです。
南部の都市ニームは織物産業が盛んで、そこで生まれた綿織物は「セルジュ・ドゥ・ニーム(ニームの織物)」と呼ばれていました。それが英語圏で取引され、「ドゥ・ニーム」が「デニム」に変化していったと言われています。
18世紀になるとイタリアのジェノアに渡り、ニームの丈夫な生地は船乗り達が穿くズボンとして着用されるようになりました。その姿を見た人が彼らの衣服を「ジェンズ」と称し、これが「ジーンズ」へと変化したという説があります。
この丈夫な生地がアメリカの鉱山作業服を作るメーカーの目に留まり、使われるようになります。
耐久性をつけたい、汚れを目立たなくしたいといったニーズに合わせ、インド産の青の染料であるインディゴブルーを使うことになりました。
泥汚れがいちばん目立ちにくい濃紺で、かつ防虫効果があるとされていました。また、当時インディゴブルーには、採掘者たちにとって最大の恐怖であるガラガラ蛇を追い払う効果があると信じられていました。
これらの理由によって、ジーンズにはインディゴのデニム生地が使われるようになりました。
インディゴの色落ちの秘密
インディゴが色落ちし、唯一無二の経年劣化を見せる秘密は3つあります。
①経糸だけインディゴに染まっている
②インディゴは繊維に染まりにくい性質である
③インディゴは色移り(移染)しやすい性質である
①経糸だけインディゴに染まっている
デニム生地は「綾織物」という生地のジャンルに分けられています。
綾織とは、経糸と緯糸が一定の間隔で交差する織り方で、交差する点が斜めの線(綾目)のように見えます。この綾目の密度を高くすることで、厚手の生地を作ることも可能です。

綾織の組織図。経糸が手前に出ている間、緯糸は2本後ろを通っている。
このとき、デニム生地は経糸だけインディゴに染まっていて、緯糸は白い木綿色の糸のままで織られています。
この理由は、単純にコストカットだとも言われています。当時からすでにインディゴは高価な天然染料であり、コスト削減のために表面に出てくる経糸のみを染めたという説があります。
実際にジーンズを裏返してみると、裏生地は木綿色が浮き上がっているのがわかりますよね。
生地全体がインディゴに染まっているわけではないため、破れたり生地の表面に傷がつくと、生地の白い部分が見えて色が薄くなったように見えるのです。
②インディゴは繊維に染まりにくい性質である
インディゴ染料は、繊維内部への浸透力や吸着力が弱く、染まりにくい・色落ちしやすいという性質を持ちます。また、インディゴは水に溶けにくく、インディゴをアルカリ性へ還元(還元剤のことをハイドロサルファイトという)して水溶性の性質に変化させることによって染料として利用します。
また、その染め方は特殊な染色機を使うロープ染色という手法で染められることが多く、インディゴ染料のプールに糸を何度かさらすのみのため、糸の芯まで染まり切ることがありません。この状態を「中白(なかじろ)」と言います。
これによって、洗うとインディゴ染料が落ちたり、生地面に傷がつき中白の白い部分が見えてくるので、色落ちが顕著に現れるのです。

糸の中白部分。糸を切ると中心が白いことがわかる
③インディゴは色移り(移染)しやすい性質である
②で説明したように、インディゴは染まりにくく色落ちしやすい分、別の繊維にも移りやすいです。このことを移染(いせん)といい、特に湿気や水に触れるとインディゴが分解されやすくなります。
これによってジーンズ本体のインディゴ量が減ることがあります。
ジーンズを購入した際に、「洗濯や他のものと合わせて保管する際は注意してください」と言われるのはこのためです。
インディゴが引き出す色落ちの魅力
いかがでしたでしょうか?
ジーンズにはインディゴのデニム生地が使われる理由があります。それによってジーンズはただの衣服ではなく、長年かけて愛される経年劣化という姿を見せてくれます。
ジーンズの魅力の秘密を知ると、履くのがますます楽しくなりますね。
たくさん履いて、自分だけのジーパンをぜひ履いてみてください!
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